人生ハードモード

さとうみほのの裏アカ的なもの

渋谷から、田園都市線で。(セーブミー)

 

 

 

 

 

 

あーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

なんでだ、なんで私はいつも選ばれない

なんで、なんでだ?

結局みんな可愛い子が好きなわけ?

うたなんて、聴いてないの?

 

 

 

 

物販。

ライヴ終わりの物販。

CDを売ったり、来てくれたお客さんとお話ししたりする場所。

 

 

 

その日は女性シンガーソングライターが集う1日だった。

5組くらいの対バン。

私も弾き語りで出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

隣の可愛いシンガーソングライターの女の子のところには

長蛇の列ができていた。

 

 

 

 

 

その隣も、そのまた隣も。隣も隣も。

みんな長蛇の列。

 

 

 

 

 

なんで私のところには誰も来てくれないの?

 

 

 

 

 

恥ずかしかった。

私のところなんて、誰もお客さんなんか来ないのに

CD広げて待ってて

誰か来るかもって思いながら待ってて

 

 

他のみんなはすごく人気者で

私は空気みたいで

 

 

消えちゃいたい気持ちになった。

 

 

 

私は今、他の人からどう見えてるのかな?

可哀想な子?

誰も来てくれないなんて、みじめな子?

 

 

 

 

 

 

そのライヴを観に来てくれていた

お母さんが心配してた。

 

 

『今の状況を母親が見ていたら

みほが、もっと悲しくなるかもしれない』

 

と思ってくれたみたいで

先に会場を出てくれていた。

声もわざわざかけないでくれた。

 

 

 

 

 

 

恥ずかしかった。

 

 

 

お母さんにそうさせてしまったことが恥ずかしかった。

 

 

恥ずかしいと思っちゃう自分も恥ずかしかった。

 

 

 

 

 

お客さんも、もういなくなって

他の出演者の女の子と喋りたくなくて

すぐにライヴハウスを出た

 

 

 

打ち上げまでしてたらきっと死んでた

 

 

 

 

 

お母さんがすごく心配だったみたいで

待っててくれてた

すぐに電車は乗れなかった

情けなくて泣いた

 

 

 

 

(あとからお母さんに聞いた話によると、物販にいた時の私の顔が、今にも泣きそうな顔をしていたらしくて、心配すぎて待っててくれたみたい…優しい…優しい…!!😭😭)

 

 

 

 

 

終電

ようやく少し落ち着いて

渋谷から田園都市線

中央林間行き

 

 

 

乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

窓に映った自分の顔がオバケみたいだった

なんか急にバカバカしくなって

もう、なにも、なにも頑張りたくないなぁ

と思った。

 

 

 

 

まぁ、なんも頑張れてないんだけどさ

 

 

 

 

 

いつも他の子がどんどん選ばれて

誰々ちゃんの曲が良かった。

あの子のサポートをやったけど歌がすごく良かった。

お前ももっとあの子みたいな歌い方できるようになりなさい。

 

 

 

 

じゃあ、もう、私、うたわなくていいじゃん

私じゃなくていいじゃん、

他のもっとすごい子のおんがくあればいいじゃん

私である必要ってなにかあるの?

 

 

 

今日だって誰も私のことなんか見てなかった…

 

 

 

 

田園都市線にゆられながら

そんなことを思い出したり、思ったりした。

 

 

 

 

 

 

 

二子玉川から見た街が綺麗だった。

悲しくて、悔しくて、情けなくて、ダサくて、

私より不幸な誰かを探して

ホッとしたくて

そんな自分が嫌で

 

めちゃくちゃだった。

 

 

 

 

たまプラーザあたりまで来ると

街の感じが地元に近くなってきて

ホッとした。

 

渋谷にいる時はいつも戦闘モードだったから。

 

 

 

 

そうやって生まれたのが

『セーブミー』という曲だ。

 

よかったら聴いて欲しい。

 

 

アイラヴミー - セーブミー MV - YouTube

 

 

 

 

 

 

 

渋谷から、田園都市線で。

終電で帰った時のうただ。

あの時の、うただ。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今、「アイラヴミー」というバンドをやっている。

そこでおんがくを作ってうたをうたっている。

自信を持ってかっこいいおんがくだって言える。

 

私がやっているバンドはかっこいい。

私が歌わなきゃ、ダメだ。

私が作ってる。命を燃やして作ってる。

この曲の数々は私のいのちのかけらだ。

 

 

私、かっこいーじゃん!!!笑

 

 

今じゃもう、そうやって思えるようになりました☺️笑

 

 

 

 

 

怖くても自信が無くてもひねくれても

続けて。続けて続けて続けて

つくって、うたって、つくって、壊して、つくって

いろんな毎日を過ごして

それが全部が私になって。

それが全部音になる。

 

 

そうしたら大丈夫。

全部私になるんだから。

 

 

私は私しかいないからね

私のおんがくは私にしかできないよ。

 

 

 

それが誰かにちょっとでも必要とされたなら

私はそれがすごく嬉しい。

 

 

 

 

 

 

そう思って今日も眠りにつくのだ

 

 

 

 

(完)

 

 

 

 

 

 

『セーブミーができるまでのおはなし』

 

 

 

ちゃんちゃん